はじめに

AppleScriptは、macOSでの自動化やアプリケーション操作を簡単に実現するスクリプト言語です。プログラムの実行を特定の条件に応じて制御するためには、条件分岐が重要です。この記事では、AppleScriptで使用される条件分岐の基本的な使い方について詳しく解説します。if文を使用して条件を判断し、プログラムの流れを制御する方法を理解することで、より柔軟なスクリプトを作成できるようになります。

条件分岐とは

条件分岐とは、特定の条件に基づいて異なる処理を実行するための構造です。条件が真（true）の場合はある処理を行い、偽（false）の場合は別の処理を行います。AppleScriptで条件分岐を実現するためには、if文を使用します。

if文の基本

if文の構造

if文は、次のような基本構造を持っています。

if 条件 then
    -- 条件が真の場合に実行される処理
end if
    

if文の例

set temperature to 25

if temperature > 20 then
    display dialog "The temperature is above 20 degrees."
end if
    

スクリプトの説明

• set temperature to 25: temperatureという変数に数値25を代入します。
• if temperature > 20 then ... end if: temperatureが20より大きい場合に、ダイアログボックスで「The temperature is above 20 degrees.」を表示します。

if-else文

if文には、条件が偽の場合に実行される処理を指定するelseブロックを追加できます。

if-else文の構造

if 条件 then
    -- 条件が真の場合に実行される処理
else
    -- 条件が偽の場合に実行される処理
end if
    

if-else文の例

set temperature to 15

if temperature > 20 then
    display dialog "The temperature is above 20 degrees."
else
    display dialog "The temperature is 20 degrees or below."
end if
    

スクリプトの説明

• if temperature > 20 then ... else ... end if: temperatureが20より大きい場合と20以下の場合で異なるダイアログボックスを表示します。

if-else if文

複数の条件をチェックするためには、else ifを使って追加の条件を指定することができます。

if-else if文の構造

if 条件1 then
    -- 条件1が真の場合に実行される処理
else if 条件2 then
    -- 条件2が真の場合に実行される処理
else
    -- どの条件も真でない場合に実行される処理
end if
    

if-else if文の例

set temperature to 10

if temperature > 20 then
    display dialog "The temperature is above 20 degrees."
else if temperature > 10 then
    display dialog "The temperature is above 10 degrees but 20 or below."
else
    display dialog "The temperature is 10 degrees or below."
end if
    

スクリプトの説明

• else if temperature > 10 then: temperatureが10より大きく、20以下の場合に対応するダイアログボックスを表示します。

ネストされたif文

if文の中に別のif文を入れることで、条件分岐をさらに詳細に制御することができます。これをネストされたif文と呼びます。

ネストされたif文の例

set temperature to 30
set weather to "sunny"

if temperature > 20 then
    if weather is "sunny" then
        display dialog "It's a warm and sunny day."
    else
        display dialog "It's warm, but not sunny."
    end if
else
    display dialog "It's not warm today."
end if
    

スクリプトの説明

• if weather is "sunny" then ... end if: temperatureが20より大きく、かつweatherが「sunny」の場合に特定のダイアログボックスを表示します。
• ネストされた条件: 2つ目の条件if weather is "sunny" thenは、1つ目の条件if temperature > 20 thenが真のときにのみ評価されます。

複数の条件を組み合わせる

複数の条件を組み合わせて1つのif文で評価することも可能です。andおよびorを使って条件を組み合わせます。

条件の組み合わせ例

set temperature to 18
set weather to "cloudy"

if temperature > 15 and weather is "sunny" then
    display dialog "It's a nice day for a walk."
else if temperature > 15 and weather is "cloudy" then
    display dialog "It's warm but cloudy."
else
    display dialog "It's cold or rainy."
end if
    

スクリプトの説明

• if temperature > 15 and weather is "sunny" then: 両方の条件が真の場合に、ダイアログボックスを表示します。
• and: すべての条件が真である必要があります。
• or: いずれかの条件が真であれば実行されます（例では使用されていませんが、orを用いることも可能です）。

まとめ

この記事では、AppleScriptにおける条件分岐の使い方について詳しく解説しました。条件分岐を利用することで、プログラムの流れを柔軟に制御し、複雑なロジックを実現することができます。if文、if-else文、if-else if文、ネストされたif文、複数条件の組み合わせをマスターすることで、AppleScriptでより効果的なスクリプトを作成することができます。次回の記事では、AppleScriptにおける繰り返し処理についてさらに詳しく解説しますので、お楽しみに！